ずぼらがそこそこ素敵に暮らすには

田中芳樹版のムーランである「風よ、万里を翔けよ」が大好きだというお話

普段自宅リフォームについて書いていますが、ちょっとびっくりしたニュースを見て、それが私にとって、思い出深いものでしたのでそのことについて書かせていただきました。

そのニュースとは実写版「ムーラン」がなにやら問題になっているらしいというもの。 

ムーランって実写化されていたのか!

実は全く知らなかったのですけど、ムーランってディズニーで実写版作って最近公開していたのですね。アニメーションがあるのは知っていたのですが、ディズニーに疎くて実写版のことは知りませんでした。

現在の中国の情勢もあって色々〜とあるみたいですが、そういった現在の政治的なところはすっぱり置いて、ムーランについて書いていきたいと思います。

 私は花木蘭(ファ・ムーラン)が好き

「ムーラン」って中国の木蘭詩を基にした女性の武人である花木蘭(ファ・ムーラン)のお話。だけど、ムーランは何もディズニーのものではなく、というか、そんなことは全くなく、京劇になっているそうだし、他にもたくさんの作品の題材になっている。

多分、花木蘭のお話は中国でとっても人気があるはずだ。

私は日本人で残念ながら中国語は読むことは出来ないので本場の中国語作品は知らない。

しかし、実は日本でも花木蘭のお話は作品になっている。

それが田中芳樹「風よ、万里を翔けよ」である。

 

 

これが、めちゃくちゃ大好きなのです!!!

中学生の頃初めて読んで、3回くらい買い直していて今も手元にあります。

私は成人してから色々拗らせて、一度看護師になったのに歴史の勉強がしたくて大学入り直しているのですけど、この本はその歴史好きを加速させたきっかけでもあったと思う。中国の歴史も大好きになりましたし、そのまま田中芳樹という作家にもハマって睡眠時間をひどく削られることにもなりました。(田中芳樹はシリーズもの作家だから廃人製造機だと思う。)

それから花木蘭について熱く語り始めておいてなんですが、私は結局西洋近現代史で先住民問題を主にやっていたので中国史は詳しくありません。すみません。

田中芳樹圧勝

それでねディズニーさん、本当にごめんなさいね。

私は花木蘭が本当に大好きなのでアニメの「ムーラン」は見たのですけどね、田中芳樹圧勝です。(ただの個人的意見です。)

小説とアニメはそれ自体の面白さを比べるものではないのですけどね。あえて、です。

その上物語の解釈が全く違うため、好みでしかないのであしからず。

木蘭詩はもともと北魏の時代の詩なのですけど、大人気すぎて現代に到るまでめちゃくちゃアレンジされていまして、田中芳樹は隋唐演義をベースにしたかったけど色々悩んだ結果辞めて、時代背景だけを隋唐演義に倣ったそうです。

なので時代は隋末です。これがもうよくて。個人的に。

田中芳樹が書いた隋末の空気感は見事だったし(煬帝に腹が立ちすぎて歯ぎしりしながら読んだよ!)、その情勢に立ち向かう多くの同士の中で戦う花木蘭はかっこよくて魅力的です。

女なのに女装して(?)後宮に潜入する一連の描写は、作中ではほとんど描かれていない、女であることを隠して武官として生きる花木蘭の心情がグッと凝縮されていて、ヒリヒリして、美しくて、たまらない。

花木蘭を始めとして、暴君に仕える優秀な官僚たちがあまりに輝いていていて、対比で皇帝煬帝が本当に醜い。

歴史小説は登場人物が多くなりがちですが、どの人物像もよく練られていて個人的にはすぐ覚えられて読みやすかったです。当時中学生でしたけど特に問題を感じなかったくらいですので。

 

国史って日本でも三国志なんかは人気がありますけど隋末ってあまりきちんと認識されていない気がしますね。

そもそも隋って短いし、遣隋使くらいでしょうか?有名なのは。

田中芳樹は中国語堪能でこの時代も好きだったのでしょうし、専門だったのか得意なようで、巻末の文献資料一覧がえらいことになっている。並々ならぬ思い入れで書いていたと、勝手に推測しています。

だから、隋末から唐初の流れがとても鮮明で、王朝と北方民族との関わりというものも小説に昇華した形で教えてもらったなと思っています。

そういった検証に基づいた綿密な背景描写に浮かび上がる花木蘭が、私は大好きになりました。

だから北方民族との単純な対立構造にもっていくアニメーションのムーランはちょっと残念だった。

わかりやすくなれば、それでいいのかと。

子ども向けだからこそ対立構造は丁寧に検証した方がいいと思う。

複雑でも子どもはそのまま受け取る能力がある。

アニメだから主軸を単純化することは当然だと思うけど、もうちょっと工夫できたんじゃないかな。

ほんの少しでも北方民族のことを描いてくれたら何かが違ったかもしれない。

とにかく「風よ、万里を翔けよ」を読んで欲しいんです

だからね、日本人で日本語読めるならね、「風よ、万里を翔けよ」読んで欲しいんですよね。

もしもアニメーションや実写版の「ムーラン」で興味をそそられたならば、「風よ、万里を翔けよ」も読んで欲しい。

読書人口が減少しているのは承知しているのですけど、ムーランに興味をもった何名かでも読んでくれたらなって思うんです。

だって本当に面白いから。

最初に読んでから20年くらい経過した気がするけど、あの時の感動は今も忘れないし、何度引っ越してもずっと本を手元に持っているくらい大好きなんです。

「ムーラン」を見てせっかく花木蘭を好きになったのに、「風よ、万里を翔けよ」読んでいないなんて、花木蘭の魅力をもっとよく知る方法があるのに、非常に勿体無い!と個人的には思ってしまう。

 

田中芳樹って小説家の中ではヒット作たくさん出してかなりの売れっ子なのにな。

銀河英雄伝説」とか今だにリメイクされたりするし人気も根強いのにな。(私はヤン派)

ディズニーの知名度は時に恐ろしい。

他をかき消す勢い。

知名度において、田中芳樹なんてディズニーを前にしては一溜まりもないでしょう。

ムーランという名前をを多くの日本人に知らせてくれたことはディズニーに感謝しています。(何様だ)

でもね、

田中芳樹のムーランもいいよ?

むしろ最高だよ??

と、言いたかっただけの記事でした。